ドラクエ考察はくぶつかん

ゲーム内では語られていない疑問点について考察します。ネタバレ注意。

天空シリーズの時系列を宿屋の変遷から読み解く

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ドラクエナンバリングタイトルの中で天空シリーズとして括られる4・5・6。

これを時系列順に並べると6→4→5の順になることは多くの方がご存知だと思います。

ところで、当サイトでは今まで天空シリーズに関わる以下の3つの記事を書いてきました。

これらの記事を書くにあたり、天空シリーズの宿屋だけをルーラで巡り、ひたすら眺めて回るだけのプレイを続けていると各タイトルの宿屋にちょっとした傾向があるように感じたので、宿屋の特徴に着目して6→4→5の時系列を考察してみたいと思います。

ドラクエ6の世界の宿屋

まずは時系列上最も過去に当たるドラクエ6の世界について。

最大の特徴は宿屋のない町が散見されるという点。

  • ライフコッド
  • フォーン城
  • グレイス城
  • ザクソンの村

などが該当します。グレイス城はゲームシステム的な視点で見ると、過去の回想を巡るだけなので宿屋があっても仕方ないのは確かですが、それならそれで「宿屋はあるものの、受付に話しかけてもダークドレアム降臨の儀式についての話しか聞けず泊まることはできない」といった設定もできるはず。

そうなっていないということは、需要がないために宿屋を設けていないという理由が妥当でしょう。グレイス城は外部の人間が訪れるには非常に困難な地形の中にありますから不自然さはありません。

 

そして、この中でも特に異質なのがフォーン城。

ライフコッド、ザクソン、グレイス城と異なり、フォーン城には旅人が訪れる機会が多いことが城内の人間の話から読み取れます(先代の王が旅人に対してカガミ姫を見世物にしていた、という話題)

ドラクエの世界において宿屋はインフラとも呼ぶべき重要な位置付けにあると思いますが、ドラクエ6の時代においてはまだこの「宿屋がインフラ」という概念が世界に十分に浸透していなかったためにフォーン城のような比較的人の往来がある地域でも宿屋が設置されていないという事態が起こっているのだと考えます。

ドラクエ4の世界の宿屋

続くドラクエ4の時代においては、ドラクエ6の時代と異なり、全ての地域に宿屋が設置されています。

注目すべきはエルフの里や海辺の村、ゴッドサイドなどの人の往来がなさそうな地域ですら宿屋を設けているという点。

これはドラクエ6の世界から時代が流れ、「宿屋がインフラ」という概念が世界中に浸透した結果ではないでしょうか。

宿屋の設置を急ぐあまり設備の質が低下

ただし、ドラクエ4の世界の宿屋にはソレッタのような劣悪な環境のものをはじめ、設備のレベルが低い場所も目立ちます。

【ドラクエ4】泊まってみたい宿屋ランキング」の記事にて「ドラクエ4の世界のスタンダード」という表現を使いましたが、平均的な宿屋の設備レベルが余り高くないことも特徴。

取り急ぎ宿屋を世界中に普及することを優先するあまり、設備の充実までは手が回っていない段階といったところだと考えます。

宿屋産業の過渡期にあたると言い換えてもいいですね。

宿屋が儲かることに気付く人物の登場

また、ドラクエ6の時代にはなかった「宿屋が町の顔になるレベルまで発展している」ケースも登場。ご存知の通り、ミントスがこれに該当します。

確かにドラクエ6でもサンマリーノや欲望の町のように単純に規模の大きい宿屋が存在しなくはないですが、宿屋が町のシンボルとして謳われているようなケースは見られません。

ドラクエ4の時代では宿屋の重要性が認識され、インフラとしての立場が確立されるとともに、サービスの質を向上させて差別化を図ることで町をゼロから作ることができるほど良い商売になるという考えの先駆けが登場したというわけですね。

この流れは後のドラクエ5の世界でも受け継がれていきます。

ドラクエ5の世界の宿屋

最後のドラクエ5の時代においては、ドラクエ4からの時代の流れを継いで宿屋が各地に普及している状態はそのままに、全体的に宿屋の質が向上している様子が伺えます。

具体的には「ドラクエ4の時代のスタンダード」だった受付と客室が一体化したワンルーム型の宿屋が減少し、受付と客室の階層を分けた2階建ての宿屋がスタンダードになってきている点。

プライバシーの面で安全性が大幅に向上しているのは大きなポイントと言えます。

宿屋の需要に合わせて適切な規模で運営

「全体的に質が向上」と述べましたが、エルヘブン、カボチ村、妖精の村など人の往来がなさそうな場所の宿屋はお世辞にも設備が優れているとは言えません。

しかし、これらは人の往来がほとんどなさそうなので妥当なところ。ドラクエ5の世界では需要に合わせた供給を行うということが高いレベルで実現する段階まで到達していると考えます。

いたずらに世界中の宿屋の設備を充実させるわけでもなく、ドラクエ4の時代のように取り急ぎで設置したような状態でもなく、過不足なくサービスを提供するという意味で宿屋産業がかなり成熟しているのがドラクエ5の時代です。

大規模な宿屋の登場

また、ミントスのように宿屋を町の顔とする町アルカパも存在していますし、町の顔とは銘打っていませんが、天空シリーズ全体でも最大級の規模を誇るポートセルミのような巨大な複合施設を持つ宿屋も登場。

ポートセルミは、その立地から見ても世界の交易の中心的な位置付けにあると言えますが、その需要の多さにしっかり応えた高度な宿屋を発展させているのはドラクエ5の世界の宿屋産業が発展していることを示唆しています。

城下町のない城の宿屋のレベルの低さについて

以上、天空シリーズの時系列を時代を経るごとに宿屋のレベルが上がっているという視点から考察してみました。

最後に余談ですが、どの時代にも共通する考え方として城下町を持たない城の宿屋は総じてレベルが低いということについて。

  • ドラクエ4:ガーデンブルグ
  • ドラクエ5:グランバニア
  • ドラクエ6:アークボルト

各シリーズ城下町を持たない町の代表はこの辺りになると思います。

それぞれの「泊まってみたい宿屋ランキング」の記事でも述べましたが、これらの宿屋はことごとく魅力が薄い・・・どころかマイナス評価すら付けたくなるレベル。どれも立派な国であるにも関わらず、です。

城下町を有しない城は外敵から国を守るには有利ですが、外部の人間の出入りが制限され、交易の発展には不利。

こういった性質からどうしても外部の人間に需要がある宿屋にコストをかけるという考え方が根付かないのかもしれませんね。

まとめ