ドラクエ4(リメイク版)のエンドール城には城下町の防具屋に続く地下通路があります。
ゲーム上では「宝箱入手ポイント」以上の意味はありませんが、この構造はエンドールの政治上重要な意味を持つと考えられます。
そんな防具屋の管理者が何者なのか考察します。
※原作(FC版)には当てはまらないため、リメイク版をベースとした1つの読み物としてご覧ください
防具屋に与えられた強力な権限
まず、城と防具屋が地下道によって繋がっているということは、防具屋の関係者は自由に城内に出入りできるということです。
地下通路の入口の扉は魔法の鍵の扉によって封鎖されていますが、防具屋内にも魔法の鍵の扉が存在しているため、防具屋の管理者は魔法の鍵を所持しているものと考えられます。出入りの障害にはならないでしょう。
つまり、やろうと思えば城の検問をかいくぐり、昼夜を問わず出入りすることが可能であるということ。
エンドール城の人間も城がそういう構造になっていることは把握しているはずです。その上で看過しているということは、防具屋の管理者をそれだけ信頼しているのだと考えられます。
国から商売の許可を得ているとは言え、いち国民に過ぎないはずの彼(彼ら?)がそこまでの権限を有するのは不自然にも思えます。
が、もし彼らに国から与えられている特別な役割があるとすれば話は違ってきます。
地下通路が持つ役割
ところで、エンドールの地下通路の役割は何かと問われると、非常時の脱出経路と答えるのが最も自然ではないでしょうか。
毒の沼地が放置されているところを見ても、日常的に使われない(=非常時のみ開放される)様子が伺えます。
別作品の例を挙げると、ドラクエ11のユグノア城にも隠し地下通路があり、ユグノアが魔王軍に城を攻められた時、まだ幼い勇者とマルティナはこの地下通路から脱出を図ることで一命を取り留めました。
エンドールの地下通路もユグノアのそれと同様の機能を果たすに違いありません。
地下通路の出口が防具屋であることのリスク
この役割を踏まえた上で、地下通路が防具屋に繋がっていることの意味を改めて考えます。
もし仮に防具屋の管理者が素性が明らかでない人物で、敵の奸計によって容易に寝返る人物だったとしたらどうでしょう。
防具屋の人間が裏切れば、非常時に王族の活路となるはずの地下通路が敵に抑えられたも同然。
つまり、防具屋の管理者はエンドール王家にとって絶対に信頼のおける人物である必要があるわけです。
エンドール防具屋の人物像
ここまで見ると、防具屋の管理者の人物像が見えてきます。
- エンドール王家に身元を保証されている
- 非常時に王族の逃亡を助ける
- 防具屋は仮の姿
こういった要素を備える必要があるでしょう。決して一介の防具屋ではないということです。
トルネコも第3章でエンドールでの商売許可を得て自分の店を持ちますが、おそらくよそ者であるトルネコはいくら実績を積んだところで彼のポジションを受け継ぐには至らないと考えられます。
エンドール防具屋が備えるべき資質
上述した防具屋が備えるべき要素についてもう少し掘り下げます。
エンドール王家に身元を保証されている
王族の血縁者というのが最も分かりやすい可能性の1つ。あるいは、古くから王家に仕えてきた実績のある家臣というのも有力な候補。
エンドールに仕えて日が浅い人間や、城に仕えていない一般の国民が当防具屋の地位を与えられるとは考えにくいです。
非常時に王族の逃亡を助ける
地下通路の出口に防具屋が位置しているので、落城に繋がるレベルの非常時には王族の逃亡を助ける任務を負っていると考えられます。
王族の命を預かる以上、文武に秀でた人物であることが求められるでしょう。
また、逃亡の段取りについても熟知しておかなければなりません。おそらくサントハイムやボンモール、ブランカなど近隣諸国のうち特に信頼のおける国への逃亡ルートが確立されているのではないでしょうか。
防具屋は仮の姿
非常時に王族の逃亡を助けるという任務は、関係者以外に漏れてはいけない情報です。
もし彼らの役割が秘匿されていなければ、敵対勢力にとって恰好の餌となるでしょう。
いくら防具屋の関係者が王家に絶対の忠誠を誓っていたとしても、拷問、脅迫、洗脳、買収…情報を引出す術は無数にあります。
どのような形であれ、非常時の王族の亡命に関する情報が漏れてしまうのは致命的。
だからこそ、彼らは防具屋という仮の姿でその本来の任務を隠す必要があるのだと考えます。
さらに、ゲーム上の防具屋のグラフィックは「あらくれ」
覆面で素顔を隠すのは極秘任務を果たす上で有効な対策の1つですから、彼にあらくれのグラフィックが与えられていることはあるいはただの偶然ではないのかもしれません。
存在を隠すのは地下通路についても同様で、防具屋の入口が盗賊の鍵と魔法の鍵で二重にロックされており、余り多くの人の目に触れないようになっているのも地下通路の存在が公になるのを防ぐためだと考えます。
厳重に鍵をかけることはかえって怪しさを際立たせてしまうかもしれませんが、「はぐれメタルよろい」を扱い、知る人ぞ知る防具屋の雰囲気を醸すことで良いカモフラージュになっているのではないでしょうか。
参考:尾張藩の特殊部隊
実は今回のテーマには元ネタがあります。
徳川の時代、尾張藩に実在した御土居下御側組同心(おどいしたおそばぐみどうしん)という役職。
名古屋城が万一落城した場合に藩主を無事に逃がす任務を負っていたそうです。彼らもまた一芸に秀でており、普段は表向きの仕事をこなしつつ有事に備えていたのだとか(実際はそのような非常事態は起こらないまま明治時代となりましたが)
今回の記事はこの御土居下御側組同心の概要をエンドールに当てはめただけだったりします。
参考までに↓
まとめ
エンドールの城と防具屋を結ぶ地下通路は非常時の脱出経路として機能すると考えられる。となると、防具屋の管理者は非常時に王家の逃亡のサポートを担えるほど有能で信頼のおける人物である可能性が高い。その任務の重要性から、普段はその身分を隠し防具屋という仮の姿で生活していると考えられる▼