ドラクエの世界では古今東西あらゆる町に存在している宿屋。
普通にプレイしているだけだと適当にアイテムを回収したり、事務的に体力を回復させるだけで通り過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
今回はドラクエ6を対象に各地の宿屋の内装を改めて観察し、泊まってみたい宿屋のランキングを作ってみたいと思います(SFC版ベース)
ドラクエ6における宿屋一覧
まずは対象となる宿屋を一覧化しておきます。
- シエーナ(マルシェ)
- トルッカ
- レイドック
- サンマリーノ
- アモール
- ゲントの村
- ダーマ神殿
- モンストル
- アークボルト
- カルカド
- ホルコッタ
- クリアベール
- メダル王の城
- ペスカニ
- マウントスノー
- ロンガデセオ
- ガンディーノ
- カルベローナ
- スライム格闘場
- 絶望の町
- 欲望の町
以上21の宿屋を対象とします。
宿屋の設備で3つのランクに分類
改めてドラクエ6をプレイしながら各町の宿屋の設備を眺めて回りました。
以下、それぞれの宿屋の特色をまとめていきますが、今回は設備の充実度から3つのランクに分類してみました。
ランク「下」の宿屋
まずは泊まってみたい宿屋の候補からは程遠い最低ランクの宿屋から見ていきます。7つの宿屋がランク「下」に該当しました。
アークボルトの宿屋
アークボルト城内の一角に組み込まれている宿屋。1階と2階に客室を備え、広さもそれなりですが、ベッドが規則的に並べられているだけで余りに無機質。
兵士たちの詰め所にも近い風体で、余り外部の人間をもてなそうという雰囲気は感じ取れません。戦の国アークボルトらしいと言えばそうですが、宿泊客視点での魅力はいまひとつ。
メダル王の城の宿屋
メダル王の城では地下に宿屋が設置されています。
城全体の雰囲気に合わせて宿屋もどことなく豪華さを感じる内装となっていますが、部屋の構造自体は受付と客室が一体化した小さいワンルームにすぎません。受付と客室の間に仕切りがなく、丸見えになっているのもマイナス。
残念ながら取り立てて見るほどのところはありません。
ペスカニの宿屋
小さな漁村ペスカニ。宿屋に宿泊すると波の音が心地よさそうですが、その内装は完全にホルコッタの下位互換。
ログハウス風な雰囲気はホルコッタと同じですが、客室の内容がどうしてもホルコッタに比べて見劣りしてしまいます。
利点があるとすれば宿屋そのものではなく、海辺と言う立地ぐらいのもの。
ロンガデセオの宿屋
ロンガデセオは受付を中央にして東側がベッドを4つ並べた客室。西側が広めの共有スペースという少し珍しい形になっています。
客室はベッド以外の設備がなく、アークボルトの宿屋と似た雰囲気。旅人を歓迎しない風潮の町は宿屋の客室も無機質になる傾向があるのかもしれません。
一方、ハックのイベントに見られる通り情報が武器になる町ですから、西側の共有スペースを情報交換の場に使ってみてもいいかもしれません。ドラクエの世界って余り腰を落ち着けて人と話せそうな雰囲気の場所がないですからね。
ガンディーノの宿屋
ロンガデセオの宿屋から綺麗に共有スペースを切り取ったような形の宿屋。
客室はロンガデセオと全く同じつくりのものを少し小さくしただけで両者を比較するとガンディーノを選ぶ理由はありません。
現在は落ち着いていますが、暴君であった先王の時代は国内が荒れ放題だったため、宿屋も旅人を歓迎できる雰囲気ではなかったに違いありません。
今後国内が安定していくにつれ、もしかすると宿屋の内装も見直しが図られる日が来るかもしれませんね。
カルベローナの宿屋
バーバラの故郷と言うことで無料で宿泊できるのが強みのカルベローナの宿屋。
ただ、その客室はベッドを2つ並べただけの簡素なもの。窓の外に広がる幻想的な光景が魅力的ですが、宿屋そのものの魅力は薄いため、残念ながらランク「下」への位置付けとしました。
絶望の町の宿屋
改めて語るまでもありませんが、壁は朽ちており、ベッドすらなくむしろが敷かれているだけの絶望の町の宿屋。
町の性質上、他と比較するのも酷ですが、ドラクエ6の世界の中でワーストの宿屋に違いありません。
ランク「中」の宿屋
続いてランク「中」の宿屋。あと一歩魅力に欠けていたり、魅力は大きいもののクセが強かったりする宿屋を分類しました。該当は6つです。
レイドックの宿屋
世界の中心に位置する大国レイドック・・・ですが、多くの人々が行き来している様子が伺える割には宿屋の設備は簡素なもの。
客室は1つのみで、しかも扉によって区切られておらずプライバシーへの配慮はいまいち。
ただ、部屋の大きさはそこそこですし、暖炉という設備も備えているあたりはさすがです。
受付周りも豪華な絨毯で彩られていますし、ずば抜けた魅力はないものの、大国の宿屋としての面目は保っていると言えます。
アモールの宿屋
アモールの宿屋は雰囲気としてはトルッカと似た感じの内装。
大きな世界地図付きのリビングと受付の豪華さが特徴です。ただ、個人的には料理がウリになっているトルッカと比べると少し魅力に欠ける印象。
アモールは水が綺麗な町なので料理やお酒が美味しい可能性が高いですが、宿屋の内装から料理が振舞われる雰囲気を感じないのが残念。トルッカとアモールで宿屋を入れ替えた方がいいのではと思うぐらいです。
また、大きな滝の音が聞こえるのもアモールの特徴ですが、これをうるさいと感じるかリラックスできるかは個人差がありそう。
滝の音を聞きながら眠りについたことがないので何とも言えませんが、果たしてどんなものでしょうか。
ダーマ神殿の宿屋
ダーマ神殿の宿屋は3つに区切られており
- 世界地図付きのロビー
- 寝室
- 浴室
によって構成されています。余り広くはないですし、それぞれの部屋が扉によって区切られていないというマイナス要素がありますが(特に浴室に扉がないのは辛い)
ただ、それでも浴室がある宿屋自体が珍しいので優位性はあると言えるでしょう。
と、設備だけを見ればこのような印象になりますが、ダーマ神殿全体を包んでいる荘厳な空気は宿屋にも漂っていて気分が高揚しそうな感じがするのは僕だけでしょうか。
もっとも、それは逆に言えばリラックスして眠るには向いていないということになりますが。
ホルコッタの宿屋
田舎特有のログハウス風の内装が特徴。 意外ですが、客室に鏡が置いてあるのはホルコッタだけ。部屋の広さこそないものの、しっかりした絨毯も敷かれており貧相な感じは一切ありません。アウトドアな雰囲気を味わうことができそうな雰囲気です。
スライム格闘場の宿屋
客室単体で見ると広さ・豪華さ共に申し分なく、暖炉やタンスも備え付けられていて最高級。
ただ、他の部屋との仕切りもなく、スライム格闘場における休憩室といった雰囲気が強いのが難点。地下の闘技場部分に続く階段が客室の間近にあるため、歓声や戦闘音がダイレクトに響いてくるのは間違いありません。
まず落ち着いて休むことはできないでしょう。
さすがに24時間営業しているわけではないと思うので夜はゆっくり休めるとは思いますが、あの広い格闘場が暗く静まり返ると言うのならそれはそれで落ち着けなさそうです。
欲望の町の宿屋
地上階はロビー付きの客室、2階部分が丸ごと1つの客室、地下がカジノという圧倒的な設備を誇る欲望の町の宿屋。
客室は1つしかないとは言え広さはなかなかのもので、ベッドに椅子、テーブルと必要なものが揃っており、客室1つ分の充実度で比較するなら欲望の町に並ぶ宿屋は他にありません。
そして何よりカジノという独自性が魅力的。
しかし、やはり町の雰囲気を反映して1人1泊100Gという他の相場をはるかに凌ぐぼったくり価格になっているのが悪印象。パーティが8人なら800Gです。
以前に「トルッカの誘拐事件における身代金5000Gの価値を現実世界と比較しつつ考察」の記事で考察しましたが、800Gだと現代日本における数十万円に匹敵しそうな金額。
確かに設備は充実していますが、どうも庶民が宿泊するにはハードルが高そうです。
ランク「上」の宿屋
最後にランキング上位候補であるランク「上」の宿屋。ここまでで挙げなかった残り8つの宿屋が有力です。
シエーナ(マルシェ)の宿屋
冒険が始まって一番最初に訪れる町シエーナ(リメイク版ではマルシェ)
バザーによって栄えているだけあって人の往来は活発。外部から訪れる商人も非常に多い様子が伺えます。
よって、宿屋の需要が高くなるのは必然。それに応えてかシエーナの宿屋は世界中で見てもかなり豪華な部類。中でも特筆すべきはカギ付きの個室があるという点。
現代日本ではホテルの個室にカギが付いていることなど当たり前ですが、ドラクエの世界ではそこまでセキュリティを気にかけた部屋はほぼ見られません。
ドラクエ6の世界でもカギ付きの個室があるのはこのシエーナのみ。
さらに該当の部屋は豪華な絨毯にタンスも備え付けられており、明らかにグレードの高さを感じます。
それに加えてシエーナの宿屋にはもう2つの客室があり、そのうちの1つはカギ付きでこそないものの、2部屋を備えた完全な個室で広さだけで言えば鍵付きの個室に勝ります。
最後の1部屋は扉がなく、ベッドが2つのみの簡素な部屋なのでちょっと見劣りがしますが、そもそも客室を3つも備えていること自体がアドバンテージなのでそこまでマイナスの要素は感じません。
トルッカの宿屋
トルッカの宿屋は宿屋の受付にバーカウンター、食事テーブルに寝室と全てが一体化した形のワンルーム型。
プライベートな空間が全くないので利用する目的によっては不親切に感じるかもしれません。
ただ、仲間とワイワイ飲み明かしたい時に宿泊するなら有力な候補の宿屋だと感じます。テーブル席やカウンター席で食事を楽しみつつ、眠くなったらすぐ横のベッドに倒れ込むだけでいいですからね。
何より受付とバーカウンターが一体化しているというのが斬新で、料理やお酒のレベルも高そうなイメージ。
また、宿屋の東側には余り人通りのなさそうな井戸があるので季節によっては軽く汗を流したりできそうなのもポイント。ドラクエの世界ではお風呂がある場所の方が稀ですから、井戸が使えるだけでもかなりのアドバンテージではないでしょうか。
ランク「中」のアモールの部分でも述べましたが、水の綺麗さがウリのアモールにこの宿屋設備が採用されていれば優勝候補だったのですが・・・惜しいところです。
サンマリーノの宿屋
レイドックとの交易も盛んな港町サンマリーノ。
町の中央にある巨大な建物の中に宿屋も組み込まれている形です。1階は受付になっており、2階が客室。部屋数は3です。
どの部屋も広さは同じで若干狭苦しさを感じますが、面白いのは西の部屋<中央の部屋<東の部屋と部屋のグレードが上がっていく点(豪華な絨毯が敷いてある部屋=最もグレードが高いという認識)
ただ、西の部屋はベッドが多い点で優れており、中央の部屋はイスとテーブルがあるという実用面で優れているなどそれぞれに良さがあるので宿泊客が目的によって部屋を選択できるようになっていると嬉しいところ。
ゲントの村の宿屋
ゲントの村は療養に訪れる人が多いのが特徴。
そのため、宿屋の需要も多いと予想されます。内装には派手さこそないものの、扉付きのしっかりとした個室が2つ。娯楽目的の旅ではなく、病気の治療に来た人に対する施設としてなかなか適切ではないでしょうか。
また、受付カウンターの前に大量にイスが並べられているのも印象的。これは病気の人に対して受付で立ったままの待ち時間を過ごさせないようにするための配慮に違いありません。
ちょっと地味で面白みに欠けますが、病人に対する優しさを感じる良い宿屋です。
モンストルの宿屋
モンストルの宿屋はやはり廊下一面に敷かれた豪華な絨毯、それから絨毯の模様に合わせてかけられたカーテンが特徴。
これはおそらく夜な夜な町を徘徊するモンストラーを窓から見えないようにしつつ、せめてもの防振効果を期待しての設備だと思いますが、あわせて豪華な雰囲気も出せているので一石二鳥。
また、この廊下以外には特に豪華さはないものの
- ゲントの村のようにしっかりとした個室
- 屋上の広々としたテラス
- さり気なく飾り付けられたロビー
など、見所が多くあります。
カルカドの宿屋
辺境にある寂れた町カルカドですが、宿屋は意外にも豪華なつくり。
部屋は1室しかありませんが、広さは世界中の宿屋の中でも随一かつ部屋内の設備も充実。ただ、広さの割にベッドが1つしかなく、1人で宿泊する客をターゲットにしている印象があります。
しあわせの国のうわさを聞きつけて外部の人間が訪れるようになったのをきっかけに宿屋の内装の見直しを図ったのだと思われますが、そう言えばしあわせの国に向かっていた人たちの中には複数人で向かっているグループがある様子は見られないので、そのことと宿屋が1人部屋になっていることに相関があるのかもしれません(※)
※例えば、病気の娘を置いてしあわせの国に向かった父親や、あらくれ風の男と踊り子風の女の夫婦(妻の方が単独でしあわせの国に向かった様子)などが該当。
クリアベールの宿屋
クリアベールの宿屋は2階建て。今回のランキングの大本命です。
まず目を見張るのは1階にある扉付きの完全個室な浴室。タンスやタライまで備え付けられており、ダーマ神殿の浴室と比べてはるかに充実しています。
主人公たちがバニー姿に女装している男性の入浴中に中に入ってしまうイベントがあるため、扉にカギはかけられない様子ですが、それでもこれ程までに充実した浴室がある宿屋は世界でも類を見ません。
2階には客室が2つ。特別に豪華と言うことはありませんが、全体的に優れているモンストルやゲントの村と同等の設備を備えており、総じてハイレベル。
また、廊下には洗面所のような設備があり、これもまたクリアベールの独自性。水回りが充実しています。
クリアベールは町全体を見てもどこか清潔感を感じる雰囲気ですが(町の名前のせい?)宿屋もそんな町の雰囲気が反映されているように思います。
マウントスノーの宿屋
マウントスノーの宿屋は地上階に酒場と宿屋の受付、地下に客室が2つという構造。
寒冷地にあるマウントスノーはお酒で体を温めるという風習があり、酒場が賑わっている様子が見て取れます。寒さに慣れていない別の地域から来た宿泊客にとって、宿屋に酒場が組み込まれているという点は嬉しい配慮。
ただ、客室を単体で見ると、扉で区切られておらず広さもいまいち。設備としてはサンマリーノの3つある客室のうち一番豪華な部屋を削ったという体で、客室そのものには余り見所はありません。
やはりポイントは酒場との複合施設と言うところでしょう。
ドラクエ6の泊まってみたい宿屋ランキング
以上を踏まえて個人的な上位ランキングは以下の通り
第3位:トルッカ
3位はトルッカ。
広々とした屋上テラスがウリのモンストルと迷いましたが、田舎の魅力を最大限堪能できそうなトルッカには妙に魅力を感じてしまいます。
仲間と楽しむのもいいですが、個人的には夫婦でのんびりカウンター席での料理を楽しみつつ、軽くお酒を飲んでゆったりした時間を味わってみたいところ。
第2位:ゲントの村
2位はゲントの村。
娯楽性には乏しいですが、気遣いに溢れる宿泊施設と言うのはやはり気持ちの良いものです。
また、ゲントの村は神の船を着水させるシーンからも分かる通り、結構な高地にある山間の村なので宿屋の窓からの景色も期待できます。残念ながら客室の窓は北側なので海を臨むことはできませんが、客室の外の入口側にも1つ南側の窓があるので開放感がありそう。
もっとも、遠目には不気味なムドーの城が見えているのかもしれませんが・・・。
第1位:クリアベール
1位は圧倒的な清潔感を誇るクリアベールの宿屋。
ドラクエの世界全体を見てもクリアベールの宿屋ほどにしっかりとした浴室を備えている場所はほぼありません。
もしドラクエの世界の住人として生きる身であれば、クリアベールの宿屋に宿泊すると軽くカルチャーショックを受けそうなレベルです。
水回りの設備が充実しているということは、排水設備が十分に整備されているということも示唆しているため、衛生状態の悪化に起因する伝染病などのリスクも他の町に比べてかなり低いのではないでしょうか。
泊まってみたい宿屋と言うよりもはや住みたい町という次元の話になってしまいますが、宿屋単体で見てもやはり他の町と比べて魅力的です。
まとめ
ドラクエ6の世界の宿屋はとびぬけた派手さを持つものはないものの、細かい気遣いや清潔感など、サービスの根底にある要素をしっかりと抑えている場所の魅力が際立っている。特にクリアベールやゲントの村の宿屋の快適さが群を抜いているのがその内装から伺える。また、方向性は異なるが宿屋の受付とバーカウンターが一体化しているトルッカの斬新さも魅力的▼