ドラクエの世界では町の顔とも言うべき宿屋。
普通にプレイしているだけだとタンスやツボの中身を回収したり、事務的に体力を回復したりして通り過ぎるだけの方も多いかと思います。
しかし、宿屋の設備に目をやってみると町ごとに特色があってなかなか面白いもの。
今回はドラクエ5の町における宿屋の特徴をまとめつつ、泊まってみたい宿屋のランキングを作ってみたいと思います(SFC版ベース)
ドラクエ5における宿屋一覧
まずは対象となる宿屋を一覧にしておきます。
- サンタローズ
- アルカパ
- ラインハット
- オラクルベリー
- ポートセルミ
- カボチ村
- ルラフェン
- うわさのほこら
- サラボナ
- 山奥の村
- テルパドール
- ネッドの宿屋
- チゾット
- グランバニア
- エルヘブン
- 妖精の村
- ジャハンナ
ほぼ全ての町にあるため数が多いですが、それぞれの宿屋の特徴について見ていきたいと思います。
町ごとの宿屋の特色
というわけで、改めてドラクエ5をプレイして実際に全ての町を歩き回り、宿屋の内装をじっくり見て回りました。
基本構成が似ている場所はありますが、1つとして同じ宿屋は存在していなかったので紹介していきます。
サンタローズ
サンタローズの宿屋は3階建て。構成は
- 1階:受付のみ
- 2階:酒場
- 3階:客室2つ
となっています。2階に酒場があるのが最大の特徴で、宿屋から出ずともゆっくり飲食を楽しめそうなのが良いですね。
肝心の客室は余り広くはなく、イスやタンスぐらいしか設置されていない地味なものですが、しっかりした個室になっているので最低限抑えてほしいポイントは揃っています。
アルカパ
アルカパの宿屋の特徴はなんと言っても世界中で最大規模を誇っている点。
建物は3階建となっており
- 1階:受付とスタッフルーム
- 2階:客室1
- 3階:客室2
という構成(2階と3階が別の客室であることは、幼年期に主人公とパパスが3階に宿泊した際、同時に詩人風の男(?)が2階に泊まっていることから判断できます)
広さの割に客室は2つしかありませんが、その分各部屋の面積はかなりのもの。特に2階の客室は豪華で、寝室とリビングに浴室も備えている形。
ドラクエの世界の町でよく目にする1ルームの1軒屋よりよっぽど快適そうです。
一方、3階の部屋はベッドとタンスしかない1ルームではありますが、広さは他の町の宿屋と比べても一回り大きく、こちらもやはり快適そう。
また、全ての階にテラスが付いており、さらに1階の東側から出られる庭には自然に囲まれたテーブルもあるので、天気が良い日は外での食事なども提供してもらえるに違いありません。
さすが宿屋が名物の町なだけあって設備の充実度合いは並の宿屋と一線を画していると言えるでしょう。
ラインハット
ラインハットの宿屋は2階建て。構成は
- 1階:受付とロビーのような空間
- 2階:客室2つ
意外なことにちゃんとしたロビーがある宿屋はラインハットとルラフェンだけ。チェックインの前などに少し待ち時間が発生する場合もあるでしょうし、嬉しい配慮ですよね。
ちなみに、客室は上述したサンタローズのものと全く同じ構造になっています。つまり、ラインハットとサンタローズの違いは酒場とロビーの有無のみ。酒場とロビーのどちらを取るかと言われると、酒場があるサンタローズの方に軍配が上がる気がします。
オラクルベリー
オラクルベリーの宿屋は2階建て。構成は
- 1階:受付のみ
- 2階:客室2つに浴室1つ
客室はどちらもおなじぐらいの広さで西側の方はベッドにタンス。東側の方はデスク、タンス、ベッドが設置されています。
浴室が共用(かつ大浴場でもない)なので少し気を遣いそう。現実世界の最近のホテルなら浴室が共用ということはまずないですが、昔ながらの民宿などだとたまにそういう宿泊施設もありますよね。以前その形式の施設を利用したことがあり、その時は他の宿泊客がいなかったので気楽でしたが、余り進んで利用したい形式ではありません。
実際、作中でもオラクルベリーの宿泊客の夫婦が浴室の覗きを警戒して無駄に気を遣っていましたしね。
また、各部屋の出入口には扉が付いておらず、プライバシー面での配慮もいまいち。
カジノもあって他地域から訪れる人も多そうな賑やかな町だけに、宿屋の設備がいまひとつなのはちょっともったいない気がしてしまいます。
ポートセルミ
ポートセルミの宿屋は2階建て
- 1階:受付に酒場とダンスステージが併設
- 2階:客室3つ
1階フロアが酒場にダンスステージ、2階フロアが客室という構成の大規模な宿屋。その規模はアルカパの宿屋と双璧を成すと言ってもいいでしょう。
客室は3つあり、西側の部屋にはキッチン、中央の部屋には洗面台、東側の部屋にはキッチン+浴室という水回りに関する設備が充実しているのが特徴。
部屋によって設備にばらつきがあったり、宿泊するのに果たしてキッチンが必要なのか疑問だったりしますが、とにかく豪華。中央の廊下が生け花で飾り付けされているのも、他の宿屋では余り見られない景観を気にした演出でポイントが高いです。
そしてもちろん、酒場やダンスステージが併設されているのが大きなポイント。アルカパが自然に囲まれてゆったり過ごすことを目的とした宿屋なのに対し、ポートセルミは都会の賑やかさを存分に楽しむための宿屋。
それぞれに良さがありますが、恋人や家族と過ごすならアルカパの宿屋、友人たちとバカ騒ぎするならポートセルミの宿屋といった使い分けができそうです。
カボチ村
カボチ村の宿屋は1階建て。
客室は1つだけで部屋の中はベッドのみ。広さは普通。客室の扉がないのがマイナスですが、人の出入りは余りなさそうなのでそこまで気にならないかもしれません。
取り立てて見るべきところはありませんが、あえて言うなら表に宿屋の看板を掲げていないところが気になります。外部の人間は滅多に来ないようですが、似たような環境にある山奥の村やエルヘブンと比べて何か大事なものが欠けているような気がします。
カボチ村の排他的な風潮を端的に表している演出なのかもしれませんね。
ルラフェン
ルラフェンの宿屋は2階建て
- 1階:受付と豪華なロビー
- 2階:客室3つ
ルラフェンはとにかく豪華なロビーが特徴的。横長のソファーが置いてある宿屋はルラフェン以外にありません。ロビーの席数も6人分と十分ですし、宿屋の受付が2人体制というのもルラフェンだけ。見逃しがちですが、受付カウンター前にイスが置いてあるというのも宿泊客への細かい配慮が行き届いていて良いですね。
客室は3つあるうちの1つだけが少しグレードが高いようで、他の部屋と比べて広く、豪華な絨毯が敷かれているという違いがあります。とは言え、全体的に客室の広さは控えめで設備も並。ロビーの豪華さに期待して入室すると拍子抜けするかも。
しかし、部屋数が3つと多いだけでも他の宿屋に比べて優れていると言えます。
ポートセルミのような派手さはありませんが、隠れた良宿としてリピーターを獲得できそうな雰囲気。
うわさのほこら
うわさのほこらはルラフェンとサラボナの間にある施設。教会と宿屋のみで構成されている小規模な建物です。
個室はなく、受付がある大部屋にベッドが並んでいるのみ。まさに寝るためだけの空間といった感じ。
明らかに他の宿屋に比べて見劣りしますが、サラボナとルラフェンの間にある通過点に過ぎない建物という性質上、長期滞在する宿泊客もいないでしょうし、最低限の機能だけを提供できれば良いのでしょうね。
野宿をしないで済むというだけでも旅人にとってはありがたいことでしょう。
サラボナ
サラボナの宿屋は1階建て。
タンス、デスク、ベッドが配置されたシンプルな客室が2つあるのみ。それぞれの部屋は左右対称となっており、実は複数の部屋があって、その設備が全て同じという宿屋はサラボナのみ。
これと言った特徴はありませんが、左右対称の形や、床板の種類からどことなく小綺麗な印象を受けます。
また、同じ建物の2階は酒場になっていますが、これは宿屋と繋がっておらず、入口も完全に独立しているため宿屋の施設には含めません。
宿屋の設備ではありませんが、受付のおじさんのノリが良さそうなのもサラボナの特徴の1つ。人によって好みは分かれそうですが、個人的には好感が持てます。
山奥の村
山奥の村の宿屋は3階建て
- 地下1階:酒場
- 1階:宿屋、武器屋、温泉
- 2階:客室1つ
世界で唯一温泉という武器を持つ宿屋。地下には小規模ながら酒場も併設されており、辺境の地でありながら施設の独自性と充実度は抜群です。
客室は一見すると2つあるように見えますが、東側の部屋は生活感があり、部屋にいる女性が山奥の村の住人だと判断できるので、宿屋の主人たちの部屋であると推察できます。
よって、客室は西側の1室のみ。階段と部屋が直結している珍しい部屋ですが、個室としての機能は十分果たしていると言えるでしょう。広さはそこそこですが、全体的に木の温かみが感じられそうな部屋で好印象。
テルパドール
テルパドールの宿屋は2階建て
- 1階:受付のみ
- 地下1階:リビングと寝室が1つずつ
地下に客室がある珍しい宿屋。個室はなく、寝室もリビングも大部屋になっており、客室全体が共有スペースになっているような形です。
地下なので外の景色は見ることができないでしょうし(見えても殺風景な砂漠が広がっているだけだと思いますが)部屋は広いものの閉塞感がありそうな気がします。残念ながらいまひとつ魅力に欠ける宿屋。
ネッドの宿屋
上述したうわさのほこらと全く同じ構成のため割愛。
チゾット
チゾットの宿屋は1階建て。
客室は2つでオラクルベリーやサラボナと似た構成。ただ、窓が多く取り付けられていたり(客室に窓があるのはチゾットとルラフェンぐらい)、東側の部屋には生け花が飾られていたりと細かい部分が嬉しいつくりになっています。
しかし、宿屋の北側に別の建物があるので窓からの景色は期待できないのが残念。チゾットの東にある吊り橋からグランバニアを見下ろすことができますが、あんな感じの景色を宿屋の窓から見ることができればかなり嬉しいんですけどね。
なお、オラクルベリーと同様客室の出入口に扉がありませんが、こんな秘境にあるにも関わらずオラクルベリーの宿屋より好印象なのはそこはかとない清潔感のおかげでしょうか。まあ、浴室がないというデメリットもありますが。
グランバニア
全ての施設が城の中に納まっている特殊な環境なので線引きが難しいですが、宿屋の空間としては受付と一体化したごく狭い小部屋にベッドが並んでいるだけの簡素なもの。
城内全体で見ると設備は充実しているものの、酒場や浴室など生活に関する部屋が充実している2階には外部の人間が入れないよう見張りが付いているので利用できそうにありません。
今回のテーマである利用したい宿屋という視点で見ると、これといったアピールポイントもなく、魅力は薄いと言わざるを得ません。
エルヘブン
エルヘブンの宿屋は2階建て。
- 1階(2階?):受付のみ
- 地下1階(1階?):客室
受付も客室も世界で最も狭い宿屋です。エルヘブンは外部の人間が訪れることがまずない町ですから、宿屋の設備を充実させる意味はないでしょう。
と言うより、そもそも宿屋が不要ではないかとさえ思えます。さすがに他の地域と比較して評価するのは酷な環境なので多くは語りません。
妖精の村
妖精の村の宿屋は1階建て。洞窟の内部のような印象を受ける建物です。
受付、寝室、お風呂が一体となった大部屋で人間の世界の宿屋とは雰囲気の違いを感じます。
お風呂がなんの仕切りもなく丸見えの状態なのと常にガイコツが入浴しているのとでまともに利用することはできなさそう。無いものとして扱った方が良いでしょう。
1度宿泊してみたい気もしますが、1回だけで十分だと感じそうな宿屋。
ジャハンナ
ジャハンナの宿屋は1階建て。
広めの受付スペースと、ベッドが4つある大部屋の客室が1つ。エルヘブンと同じく外部の人間が訪れることはほぼないでしょうから、宿屋の必要性は余り感じません。
その割にはそこそこ充実しているといったところでしょうか。あくまでもその割には、なので特別見所があるわけではありません。
宿泊したい宿屋ランキング
以上、様々な宿屋がありましたが、気になるポイントは
- 部屋は個室になっているか
- 併設されている施設はあるか
- 部屋の広さは十分か
- 客室内の設備は充実しているか
だいたいこんなところでしょうか。
もう既にここまで見てきた中でランキングは確定しているようなものですが、これらを高いレベルで保持している宿屋を改めて順位付けしておきたいと思います。
第1位:ポートセルミ
1位はポートセルミ。
ドラクエ5に登場する全ての宿屋の中をじっくり眺めてまわった時に、とにかくもうポートセルミのワクワク感は段違いでした。
やはり決め手は併設されている酒場とダンスステージの派手さでしょうか。たっぷり夜更かしして騒いで、眠くなったら2階に上がってすぐ寝れるのは最高過ぎます。
ただ、もしかしたら部屋にいても下がうるさくて眠れない可能性はありますね。2階からダンスステージを覗いている男性がいることからも1階と2階が吹き抜けになっているのは明らかですし、音が遮られることなく響いてきそうです。もちろん、1階も24時間営業しているわけではないはずなので一晩中うるさくて眠れないなんてことはないと思いますが、疲れて早寝したい日があった場合は少し困るかもしれないというデメリットはありそうです。
第2位:山奥の村
2位は山奥の村。
自然に囲まれてゆっくり過ごす宿、という意味でアルカパと山奥の村は方向性が被っているように思います。
2者を比較すると、宿屋本体の設備が充実しているアルカパと、温泉や酒場という付加価値が付いた山奥の村のどちらを取るかという話になりますが、個人的には僅差で山奥の村かな、と。
同じ自然の中で過ごすなら、もう振り切った辺境の地でゆっくり羽を伸ばしてみたいものです。
第3位:アルカパ
そして3位がアルカパ。詳しくは山奥の村で述べた通り。
アルカパの次点ではサンタローズ、チゾット辺りが候補ですね。
圏外
最後に、特にイメージが悪かった宿屋について。
オラクルベリーがワーストです。
オラクルベリーは町の発展具合を加味した時に宿屋の充実度が低すぎるように思います。確かに浴室があるという優位性はありますが、扉さえない状態。これでは落ち着いて入浴できません。
他にエルヘブン、グランバニア、妖精の村辺りも宿屋の設備レベルは低いですが、これは立地上旅人が訪れる機会がないために宿屋を発展させる必要がないという点を加味すると納得できるレベルなのでそれほど印象は悪くありません。
まとめ
ドラクエ5の世界の宿屋を改めて眺めてみると、それぞれに特色が感じられる。中でもポートセルミや山奥の村の宿屋のように様々な娯楽施設を融合させた宿屋は特に魅力的。その一方、オラクルベリーのようにプライバシーへの配慮がいまいちだったり、ただ寝る場所を提供しているだけという雰囲気を醸し出している宿屋は魅力に欠ける▼