魔法都市カルベローナの長老であるブボール。
彼女はバーバラにマダンテの極意を継承した直後、デスタムーアの攻撃を受けて命を落とします。
この時、デスタムーアは居城であるはざまの世界からブボールを狙い撃ちしたと思われますが、それほど強力な遠隔攻撃ができるのであればもっと他にもその力を活用する場面があったのでは?という疑問について考察します。
デスタムーアが狙った相手を自在に攻撃できると仮定する
まず、デスタムーアがはざまの世界にいながら意図した相手を自在に直接攻撃できる力を持っていると仮定します。
であれば、マダンテの脅威を持つブボールを攻撃したのは賢明な判断には違いありません。結果としてはバーバラへのマダンテ継承に間に合わなかったので失敗に終わっていますが、それはさておき攻撃対象の選択自体は妥当なところ。
魔王に封印されていた地域の有力者たちも攻撃すべき相手
しかし、本当に狙った相手を自在に攻撃できるのであれば、他にも狙うべき対象は沢山います。特にもともと魔王たちに封印させていたカルベローナ以外の
- 勇者を生み出す恐れのあるダーマの大神官
- はざまの世界の結界を破る力をペガサスに与えるゼニス王
の2人は積極的に攻撃を仕掛けるべき相手のはず。
残るメダル王に関しては・・・正直、彼がいない方が小さなメダルと交換という手間をかけなくとも彼の保管している強力な武器防具を手に入れられるようになりそうなので、デスタムーアがメダル王に直接手を下すのは魔王軍にとって逆にデメリットになり得ると考え除外。
よって、ブボール以外の有力な攻撃候補はダーマ大神官とゼニス王の2人。
その他の有力な攻撃対象
他にもぱっと思いつくだけでも
- 氷の洞窟を開く鍵を握るザム神官
- 伝説の剣ラミアスを復活させる鍛冶師サリイ
- 海底への道を開く人魚ディーナ
- 国を挙げてムドー討伐を志すレイドック王
など、それぞれ単体では魔王軍に対して力を発揮しないものの、彼らが主人公たちに与える力の大きさを思えば、デスタムーアにしても早めに対処すべき危険因子だと事前に認識できたはずです。
ブボールの言葉を借りるなら、デスタムーアは「主人公たちの動向を心の目で追っている」とのことですから、自分にとって脅威となる人間の候補はある程度絞り込めていたに違いなく、それにも関わらず攻撃を行わないのはどうにも不自然。
何より、最大の脅威である主人公一行にいっさい遠隔攻撃を仕掛けてきていないのが不思議です。
結局、実際に直接攻撃を行ったのはブボールのみ。これ程強力な攻撃手段を持ちながらこの有様ではどうも腑に落ちません。
なので、「デスタムーアがはざまの世界にいながら意図した相手を自在に直接攻撃できる力を持っていた」という仮定がそもそも間違っていると考えられます。
遠隔攻撃が持つ制約について考察
となると、遠隔攻撃にはなんらかの制約があると考えるのが自然ではないでしょうか。制約の内容についていくつか可能性を挙げてみます。
制約1:結界に守られた対象に対しては無力
ブボールは時の砂を用いた結界によって外部から身を守っていました。
皮肉な話ですが、もしバーバラが砂の器でこの結界を解かなければブボールはデスタムーアに攻撃されることはなかったでしょう。
このことから、結界の力で守られている場合はデスタムーアの直接攻撃を防ぐことができると考えられます。
もし仮にデスタムーアが結界をものともしない攻撃をできるのであれば、グラコスが倒されてカルベローナの封印が解けた時点で早々に手を打つべきであり、主人公たちが海底神殿からカルベローナに至るまでの時間に何もしないのは明らかに不自然です。時の砂の結界が解かれたタイミングで攻撃を仕掛けたのは、やはり結界がデスタムーアの攻撃を阻んでいたと考えるのが妥当でしょう。
では、ダーマ神殿やゼニス城も時の砂と同様になんらかの結界で守られていると仮定すればどうでしょうか。
これなら魔王に対して有効な力を持つ人物たちがデスタムーアの直接攻撃を受けない理由の説明がつきます。
・・・が、この場合主人公一行や上述したその他の有力な人物たちなど、結界に守られていないような一般的な町に住んでいる人々が攻撃されない理由が説明できないため今回のテーマに対する答えとしては不十分。
結界が有効なのは間違いないですが、他にもデスタムーアの遠隔攻撃に関わる要素がありそうです。
制約2:対象の位置を正確に感知する必要がある
続いて、ブボールの魔力の強さが仇となり、デスタムーアに正確な位置を感知されてしまったという可能性について。
まず前提として、魔王軍と渡り合う主人公一行が世界でも有数の戦闘能力を持つことは疑いの余地がありません。
そんな強者集団の中でさらに魔力に長けているのがバーバラ。そのバーバラを以ってしても現時点ではブボールに及ばないとされています。そう判断できるのはカルベ(カルベ夫妻の妻の方)の以下のセリフ
『いつかは お前が
ブボールどのを しのぐ 大魔女に
なるじゃろう。』
スクウェア・エニックス『ドラゴンクエストⅥ 幻の大地』より
カルベローナ カルベ
つまり、現時点ではまだブボールの域には到達していないということ。
よって、ブボールはドラクエ6の作中屈指の魔力の持ち主だと判断できるわけですが、この圧倒的な魔力のせいで逆にデスタムーアにその正確な位置を感知され、攻撃を当てられる原因となってしまったのではないでしょうか。
他作品の話で恐縮ですが、ドラゴンボールでは「気を感知する」という概念があり、戦闘力が高いキャラクターほど気の存在感が大きく、そのキャラクターがどこにいるかまで特定されるという設定になっています。
今回のブボールの件もまさにそのイメージで、魔力が強力過ぎるが故にその存在感も大きく、はざまの世界にいるデスタムーアにまでその所在を掴まれてしまったのではないかと考えます。
ブボールもその危険性を分かっているが故に、時の砂による結界によって魔王の攻撃を防ぐという対策を取ったのでしょう。
制約3:攻撃に移るまでのタイムラグ
デスタムーアが主人公たちの動向を心の目で追うことで時の砂の結果が解除されたことを知り、その隙を狙ってブボールに攻撃を試みたのは先述した通り。
結界が解除された後、マダンテ継承より僅かに攻撃のタイミングが遅れたことを鑑みるに、主人公たちの動向を把握するスピードやそこから攻撃に移る速度などは大いにラグを含んでいると推測できます。
これもまた遠隔攻撃が持つ制約であり、万能ではないことの証左です。
以上の制約に縛られるために、強力な遠隔攻撃もブボール相手でしか活用できないという結果に終わったのではないでしょうか。
まとめ
はざまの世界にいながら特定の相手に直接攻撃を行うことができるデスタムーアの強力な能力。もしこの力に一切の制約がないのであれば、ブボール以外の強力な能力を持つ人間に攻撃を行わないのは極めて不自然。したがって、この遠隔攻撃は
・結界を破る力はない
・対象の位置を正確に感知する必要がある
・攻撃が発動するまでのタイムラグがある
などの制約を抱えており、万能ではないと考えるのが妥当▼