ドラクエ考察はくぶつかん

ゲーム内では語られていない疑問点について考察します。ネタバレ注意。

レイドック大臣ゲバンが課した税金の重さを現代日本の金銭感覚で例えてみる

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ドラクエ6にて現実世界のレイドックを初めて訪れた時、王と王妃は眠ったままの状態で大臣のゲバンが政治の実権を握っている様子が描かれています。

その悪政の様子が分かる演出の1つがレイドック城門前にある立て札の内容

『世界に平和を!

魔王ムドーとの戦いに そなえて

ひとり50まいの金貨を!』

スクウェア・エニックス『ドラゴンクエストⅥ 幻の大地』より

レイドックの立て札

建前はムドー討伐のためとなっていますが、レイドック国民のゲバンに対する悪評を見るに、彼が私腹を肥やすための徴税であると見て間違いないでしょう。

この「金貨50まい」がレイドック国民にとってどの程度の負担額なのか現代日本の金銭感覚に置き換えて考えます。

金貨とゴールドの関係を考える

この立て札の最大の疑問は「金貨」という聞き慣れない言葉が使われている点。

ドラクエの世界で共通の通貨といえばご存知の通り「ゴールド」です。よって「ひとり50ゴールドを!」という言い回しの方が自然ですが、なぜあえて「金貨」という表現を使ったのでしょうか。

レイドック独自通貨が存在すると仮定

この問いに対する答えの1つとして、レイドックでは独自の通貨が使われているという可能性が挙げられます。

作中では一切そのような描写はありませんが、主人公一行も実はレイドックではゴールドを一時的にレイドック専用の通貨に換金して用いているというわけですね。

 

別作品ですが、例えばドラクエ11では「ユグノア金貨」というアイテムが登場します。

ドラクエ11未プレイの方に簡単に説明すると、ユグノアとはドラクエ11の勇者の故郷である王国で、ゲーム開始時点で滅んでしまう様子が描かれています。

プレイヤーとしては滅んだ後のユグノアしか訪れることができないのでユグノア金貨が実際にどのような用途で用いられていたのか知る術はありませんが、ユグノア国内で用いられている通貨だったのではないでしょうか。

この他にもユグノア銀貨、ユグノア銅貨というアイテムも登場しており、複数の通貨を用いることでより細かい価値の尺度を設定していたのではないかと考えます。

 

話が逸れましたが、レイドックでもユグノアと同様にレイドック金貨が通貨として用いられているのであれば、ゲバンが立て札の文章を「ひとり50まいの金貨を!」としたことにも納得がいきます。

レイドック独自通貨の存在は不自然

しかし、実際のところこの可能性は低いと考えます。

なぜなら、レイドックの武器屋・防具屋・道具屋・宿屋・ゴールド銀行といった商業施設全てでゴールド単位の表現がされているから。

もし仮にレイドック金貨が使われているのであれば、店員は金貨単位で金額に関する話をするはずです。

百歩譲って、武器屋・防具屋・道具屋では商品リストに書かれている金額が国外の買い物客へ配慮して世界共通の通貨であるゴールドに換算した表記をしているというだけならまだ納得がいきますが、宿屋では店員が「1人1泊10G(ゴールド)」という発言をしており、明らかに不自然。

したがって、レイドックでは他地域と同様ゴールドが通貨として用いられており、立て札の「金貨」とはゴールドと同義であると考えるのが妥当です。

通貨として用いられていない金貨で税金の支払いを命じるとは考えにくいからですね。

「ゴールド」はそのまま「金」を意味しますし、金貨という通称が用いられていても不思議ではないでしょう。

50ゴールドの価値を現代日本の感覚に置き換える

よって、ゲバンが国民に課した税金は1人50ゴールドということになります。

これは現代日本人の金銭感覚に置き換えるとどの程度の負担に該当するのでしょうか。

ドラクエ6の世界のゴールドの価値については「トルッカの誘拐事件における身代金5000Gの価値を現実世界と比較しつつ考察」の記事で考察しました。

ゴールドが世界共通の通貨で、世界中どこでも不変の価値を持つというドラクエの世界観を鑑みるに、トルッカの記事の結論はそのままレイドックにも当てはめることが可能です。

詳しくは上記の記事を参照していただきたいですが、結論として50ゴールドは「高めに見積もって現代日本における5万円程度」だというのが個人的な見解です。

税金の性質を考察

ゲバンが課した税金のポイントは2つ

  • 「1人あたり」金貨50まい
  • 税金は定期的に徴収しているわけではない

この性質について詳しく見ていきます。

家族が多い世帯の負担が大きい

ポイントの1つは「1人あたり」という単位で税金を課しているという点。年齢に関係なく徴収するのか詳細は不明ですが、この記述だけを見ると子どもが多い世帯ほど負担が大きくなるのは明白です。

例えば子どもが2人の4人家族の場合、納める税金は現代日本の感覚で20万円相当。決して安くない負担です。

ちなみに、この立て札を読んでいる女性の発言は以下の通り。

『いやだよ まったく

また 税金を とるみたいだね。

王さまや 王妃さまが

元気なときは こんなことは

なかったのに……。』 

スクウェア・エニックス『ドラゴンクエストⅥ 幻の大地』より

レイドックの女性

「いやだよ まったく」というセリフからは「決して払えない金額ではないが、痛い出費」 という印象を受けます。

食うに困るほどの負担であればもう少し切羽詰まったセリフになるはず。この女性が富裕層で相対的に税金の負担が軽いという可能性もなくはないですが、ドラクエ6の世界では富裕層の女性は専用のグラフィックが用意されているので、おそらく通常の中年女性のグラフィックである彼女はレイドックにおけるごく一般的な家庭の人物だと推測できます。

そう考えると「1人5万円の税金」という金額はそれなりに日本のごく一般的な世帯(中央値に位置するような)の感覚と合致する数字ではないでしょうか。

定期的に徴収される税金ではない

もう1つのポイントはこの税金が毎月徴収するといった定期的な性質を持つものではないという点。

これは「また税金をとるみたいだね」という発言から判断できます。定期的に徴収されるのであれば、このような言い回しにはならないでしょう。

よって、ゲバンの思い付きで不定期に単発で徴税されているものだと言えます。

毎月ではないというのはある意味救いかもしれませんが、不定期に来られると予想外の出費になるためやりくりが難しくなりそうです。

ちなみに、作中では王と王妃が意識を失いゲバンが実権を握ってから1年程度しか経っていなかったため年単位での傾向は読取ることができません。

ゲバンの税金の負担の重さを総括

以上の情報を総合して、まとめると

  • 人数が多い世帯ほど負担が重い
  • 徴収の名目は軍事費(ムドー討伐)
  • 不定期に徴税されるため事前予測が難しい

といった性質の徴税であると言えそうです。

福祉などに使われる税金ではないため自分たちの生活に還元されることはありませんし、事前に予測できない出費のため、家計に大きな狂いが出るに違いありません。

また、家族が多いほど負担が多くなるので子育て世代の負担の大きさは計り知れません。もしゲバンが長期的に実権を握っていれば、レイドックは子どもを産みづらい国になり長期的に見て少子化が進んでいたかもしれません。

払わない場合にどのような罰則があるのかは分かりませんが、これでは国民の反感を買うのは必然でしょう。

まとめ