対象者の真実の姿を映し出す効果を持つ「ラーのかがみ」
ドラクエ7ではラーの鏡をラストダンジョンであるダークパレス内の宝箱から入手することができます。
特に入手必須アイテムでもなんでもなく、ストーリーとの絡みも皆無。しかし、ドラクエ7ほどラーの鏡があれば解決できる事件の多い作品も他にありません。
そこで、今回はドラクエ7においてラーの鏡が活躍したであろうシーンについてまとめつつ、オルゴ・デミーラが意図的にラーの鏡を保持していた可能性について考えます。
オルフィー編
まずはデス・アミーゴによって人間が動物に、動物が人間にそれぞれ姿を変えられてしまっていたオルフィー編。
ラーの鏡の出番の典型ともいえるシーンです。この時点でラーの鏡を入手できていれば、わざわざ現代と過去を行き来して木こりの力を借りるという労力をかける必要もありませんでした。
ただ、もしオルフィーの事件をラーの鏡で解決してしまっていたらガボはその後白いオオカミの姿で生きていくことになり、主人公たちの仲間になることもなかったでしょうから少し複雑なところではあります。
ダーマ編
長丁場のダーマ編。他のシナリオに比べて敵がかなり組織的で強力なのが印象的です。しかし、その力に驕ることなく変身の力も活用して人間たちを苦しめる策を展開していました。ラーの鏡で正体を見破りたい相手は2人います。
アントリアの変身を見抜く
ダーマ編で主人公たちが呪文・特技を奪われ、ふきだまりの町に落とされることになったのはそもそも大神官に化けていたアントリアに騙されたから。
もし、呪文・特技を奪われる前にアントリアの正体を見破ることができていればあれ程苦労してふきだまりの町からの脱出経路をたどる必要もなかったはずです。
マンイーターの変身を見抜く
それから、ネリスに化けていたマンイーターの正体も見破りたかったところ。結果としてカシムが正体を見破り、特にマンイーターからの不意打ちを受けるようなことはありませんでしたが、こちらの方から正体を見破ってやれば先手を打って攻勢に出ることもできたかもしれませんしね。
プロビナ編
プロビナ編ではりゅうき兵率いる魔物の軍団がラグラーズ軍に化けていました。
もしラーの鏡で彼らの正体を見破っていれば、黄金の女神像を破壊せずにプロビナの村に攻め入られることもなかったかもしれません。最終的に多くの村人は抜き取られた魂が返ってくる形で助かりますが、神父の命はここで奪われてしまうのでこの時点でラーの鏡があれば、と思わずにはいられません。
主人公たちが見守る中、ラズエルがラグラーズ軍の前で黄金の女神像を破壊するまでは僅かですが間があります。この間にラーの鏡で敵の正体を見破っていればプロビナでの被害はほぼない状態で問題を収束できていたはず。
「とにかく怪しい相手には即ラーの鏡」を徹底しなければならないのでちょっと酷な話ではありますが、それ相応の見返りがあるのがラーの鏡のすごいところです。
レブレサック編
レブレサック編は特にラーの鏡に活躍してほしかったシナリオ。
魔物の姿に変えられた神父をラーの鏡の力でもとの姿に戻すことができていれば村人間の疑心暗鬼を防ぎつつ、神父の心も救うことができたに違いありません。
悲しいことに、神父に関してはプロビナ編とレブレサック編の2つのシナリオで最も被害を受けた人物になっているんですよね。ドラクエ7のストーリーの中でラーの鏡によって最も救われるのは間違いなく彼です。
コスタール編
コスタール編では生まれてくる子どもがモンスターの姿に変えられてしまう呪いがかけられていました。ラーの鏡があれば、子どもたちをもとの姿に戻すことができたはず。子どもを奪われる両親たちのシーンは見ていて心が痛いのでぜひラーの鏡で早急に解決してほしいポイント。
ところで、バリクナジャはこの魔物と化した子どもを人質として主人公たちを脅すこともできたのではないでしょうか。ゲーム中では一切そんな演出は挟まれていませんでしたが、そういったリスクもあった可能性を考えると、ラーの鏡の力があればより安全性を高められたことでしょう。
マーディラス編
マーディラス編において、メディルの使いは一応魔物であることを伏せた上で国王をそそのかしていたように見受けられます。
正直、復讐心に駆られた国王ゼッペルなら魔物と分かっていてもその力を借りたかもしれない危うさを感じますが、ラーの鏡でメディルの使いが魔物だと暴いていれば少なくともマーディラス城の人間が国王に近付けようとはしないでしょうから、究極魔法の脅威を未然に封じることができたはずです。
究極魔法の完成さえ封じてしまえば過去のマーディラスを平和に導くのは楽なもの。ラーの鏡による恩恵の大きさは計り知れません。
オルゴ・デミーラ自身の変身
さらに現代ではオルゴ・デミーラ自身が神の姿を借りてクリスタルパレスにて人間たちを欺いています。これもまたラーの鏡にて正体を見破ることができであろう場面の1つ。
後に四精霊たちがオルゴ・デミーラの正体を見破るために力を消耗し、4人まとめて吹き飛ばされてしまうシーンがありますが、もしラーの鏡で正体を見破っていれば四精霊がもう少し余力を残すことができたのではないでしょうか。
その余力を使ってオルゴ・デミーラ討伐時に四精霊が主人公たちを助けてくれた可能性もあるので、やはりラーの鏡に活躍してほしかったところです。
変身の力は人間に絶望を与える有効な手段
ここまで見てきた通り、ドラクエ7では人間に姿を変える敵や、意図しない姿に変えられてしまう人間など、変身の力を用いた演出が他作品より非常に多く登場します。
オルゴ・デミーラが人間を滅ぼすことより人間に絶望を与えることを優先したと「
オルゴ・デミーラの支配体制確立に貢献したボスランキング」の記事で説明していますが、これは人間に絶望を与えるには姿を変えるという手法が非常に有効であることを示唆しています。
オルゴ・デミーラはそれを分かった上で変身の邪魔になるラーの鏡を手元に置き、変身の力を最大限活用した戦略を展開して人間に絶望を与えようとしたのではないでしょうか。
逆に最終的に主人公たちがダークパレスに到達する時点で、変身を有効活用した彼の部下たちは全て倒されてしまっているのでもはやラーの鏡を手元に留めておく意味もない、と。
入手必須アイテムでもなく、大した使い道もないラーの鏡があえてダークパレスに配置されているのはそんなオルゴ・デミーラの思惑が働いていると思わずにはいられません。
まとめ
オルゴ・デミーラは人間を滅ぼすことより人間に絶望を与えることを優先していた。絶望を与えるための手法として変身の力が非常に有効であることに目を付け、その障害となるラーの鏡を手中に収めたのだと考えると、ストーリー上使い道のないラーの鏡がダークパレスに配置されているのに合点がいく▼