ドラクエ1の最終決戦前にりゅうおうが勇者に持ちかけてくる「もしわしの味方になれば世界の半分をお前にやろう」という提案。ドラクエシリーズの中でも特に有名なセリフですよね。
実際のところこの問いかけはりゅうおうの罠なのですが、実際に勇者にアレフガルドの半分を与えて自分の手下にしてもメリットがあったのではないかという話をしたいと思います。
りゅうおうの提案に対する返答
ドラゴンクエスト1の描写のみから考える
上記の提案の後には「はい」「いいえ」の選択肢が現れ、ここで「はい」を選んでしまうとゲームオーバー。詳しい描写はありませんが、主人公が「闇の世界」に捉われてしまいバッドエンドとなります。
勇者ロトの子孫の人物像を考えるに、この選択肢で「はい」を選んでしまった場合の返答は決して「魅力的な提案ですね!喜んでお受けします!」というものではなく、りゅうおうの余りの迫力に気圧されて完全に心が折れてしまい、逆らう気力も起きなかったと考えるのが自然ではないでしょうか。
ここまで世界各地を巡って幾多の試練を潜り抜けてきた果てに、りゅうおうに対する恐怖に屈服してしまうという結末は「救いがない」の一言に尽きますが、個人的には結構リアルで味わい深いと感じます。
「りゅうおうを討つ覚悟で長い旅を続けてきた。いくつもの困難を乗り越えてきた。でも、いざりゅうおうと対峙してみるとそんな覚悟も消し飛ぶほどの恐怖に支配されてしまった…」って、いくら勇者でもあり得ると思うんですよね。仮にそうなっても誰にも勇者を責める資格はないですし、むしろとても人間らしくて好感が持てます。
まあ、アレフガルドの住人たちにしたらそんな悠長なことを言っている余裕はないと思いますが。
ドラゴンクエストビルダーズから考える
ドラクエ1の発売からおよそ30年を経て発売された「ドラゴンクエストビルダーズ」ではドラクエ1の勇者がこのりゅうおうの問いかけに「はい」と答えてしまった後の世界を描いています。
本作中では、この時の勇者の心情を想像する描写があり、その解釈は上記の解釈とは結構ニュアンスが異なるのですが、個人的にはちょっとピンときませんでした。今回はあくまでも「ドラクエ1」という作品についての考察なのでドラゴンクエストビルダーズで見られる描写については考慮せずに進めていきたいと思います。
アレフガルドを2分割する価値はある
ロトの血を引く者を魔王の手先に変える
さて、ここから本題。
勇者にアレフガルドの半分を与えて自分の手駒にすることは実はりゅうおうにもメリットがあると考えます。
と言うのは、勇者を闇の世界に閉じ込めたり、ただ単に殺してしまうよりも自分の手駒とすることで人間たちにより大きな絶望感を与えられるからです。
人間たちの希望の象徴とも言うべき勇者がりゅうおうの手下として自分たちに牙をむいてくる。この光景はりゅうおうにとってはかなり痛快ではないでしょうか。逆に人間たちの絶望感と言ったら想像するに余りあります。
もちろん、勇者が反乱を起こさないようなんらかの手は打っておく必要がありますが、自分に屈服した勇者相手なら自分の手下として洗脳することも容易にできそうです。
りゅうおうは言霊による呪いを扱える
件の問いかけが勇者を闇の世界に引きずり込むための言葉による呪いのようなものであったなら、勇者を自分の忠実なしもべにするような呪いをかけるなんてこともできそうです。
勇者がりゅうおうの誘いを断った場合に闇の世界へ引きずり込むことを諦めて戦闘に突入することから、心の強い人間を言葉の力で呪いにかけることはできないと推測できます。強力な力ではありますが、相手の言葉を引き出す必要があるため万能ではないと。
しかし、逆に一度屈服して弱みを見せた人間は呪いから抜け出すことは容易にはできないに違いありません。こうなるともう姿かたちはそのままで完全にダークサイドに堕ちた勇者の出来上がりです。
世界の半分を勇者に与えるならどのエリアか
続いて、もしりゅうおうが本当にアレフガルドの半分を主人公に与えるならどのエリアを与えるのかを考えてみます。と言ってもそう難しい話ではなく、りゅうおうは自分の居城を手放すことはないでしょうから、居城から近いエリアを確保するのが妥当でしょう。
アレフガルドは結構複雑な形をしているので綺麗に2分割するのは難しいですが、独断でざっくり6つの地域に分けると
- ガライ地方(北西)
- ラダトーム地方(西)
- ドムドーラ地方(南西)
- メルキド地方(南東)
- リムルダール地方(東)
- マイラ地方(北東)
こんなところでしょうか。
参考:ドラクエ1|マップ [世界地図]|ファミコン完全攻略サイト
このうち、りゅうおうの居城の玄関口になっているリムルダール地方を中心にマイラ地方、メルキド地方など主に東側のエリアがりゅうおう領。
残ったガライ地方、ラダトーム地方、ドムドーラ地方あたりの主に西側のエリアを勇者領にすれば良いと考えます。
まとめ
「もしわしの味方になれば世界の半分をお前にやろう」の提案に勇者がのってきた場合、闇の世界へ引きずり込むのが最も確実ではあるが、宣言通りアレフガルドの半分を勇者に与えて自分の忠実なしもべにしてしまうのも一興。りゅうおうにとっても人間の希望の象徴とも言える勇者が人間を支配するための先兵になる様はこの上なく痛快に違いない▼