ドラクエ6の魔王であるデスタムーア。
他シリーズの魔王であるりゅうおうやゾーマが自らの存在を人間たちに誇示していたのに対して、デスタムーアは自身の存在を知られないように立ち回っていたことが印象的です。
個人的にデスタムーアが取った支配体制がなかなか好みなので、その功罪と改善点について考察します。
幻魔王デスタムーア概要
- 現実世界で自らの脅威となる施設を滅ぼす
- 人々の夢を具現化して、夢の領域にまで支配圏を伸ばす
- はざまの世界を作り出し、自分の居城を構える
- 部下であるムドーを魔王として君臨させ、自身の存在は表に出さない
これらがデスタムーアの取った行動の概要です。世界を作り出すという壮大なことを行っていることからも、その存在の強大さが伺えます。
りゅうおうやゾーマとの比較
りゅうおうやゾーマが自身の存在を人間たちに誇示していたのは、自らの強さに圧倒的な自信を持っていたからです。自分が人間に敗北する姿など想像もしていなかったことでしょう。実際、ほぼ全ての人間が彼らの存在に怯え、抵抗する気力も失っていました。そんな姿を見て、人間の矮小さを見下していたことでしょう。
これは悪く言えば自身の強さに自惚れていたと取れます。
では、デスタムーアが自分の存在を人間たちに誇示しなかったのは自分の力に自信がなかったからでしょうか?
と言うと、そんなことはないでしょう。最終決戦で主人公たちと対峙した時も余裕が見られますし、人間とまともにやり合ってまさか負けるとは思っていなかったはずです。
それでも自分の存在を知られないように侵略を進めていったのは、りゅうおうやゾーマと違い、自身の強さに溺れずにより確実な支配体制を築くことを優先したからです。
個人的にデスタムーアのこの慎重な姿勢に魅力を感じます。
夢の世界で封印された4つの施設の立ち位置
デスタムーアが人間たちに対抗するため封印していた4つの施設
- ダーマ神殿
- メダル王の城
- カルベローナ
- ゼニスの城
この中で明らかに他の3つの施設と性質の違うものがありますが、どれかお分かりでしょうか?
答えは言うまでもなくゼニスの城です。
それぞれの施設がデスタムーアの脅威となっていた理由を改めておさらいしてみると
- ダーマ神殿→勇者をはじめとした強力な力を持つ人間の誕生を促す
- メダル王の城→強力な武具を有する
- カルベローナ→究極の攻撃呪文マダンテを扱う
- ゼニスの城→はざまの世界に至る天馬の力のカギを握る
となり、ダーマ神殿、メダル王の城、カルベローナが人間の戦闘能力を高めるための施設であることに対して、ゼニスの城のみ自分の居城であるはざまの世界に至るための施設と言う意味で他と性質が異なっています。
デスタムーアにとっての最善策
ここまで見てきたように、デスタムーアにとって封印された4つの施設の中でゼニスの城が最重要拠点です。
ここさえ落とされなければ最悪他の施設の封印が解かれて驚異的な力を持つ人間が現れたとしても、自分の居場所に攻め込まれることはありません。
デスタムーアにとっての最善策は誰にも攻められない安全な位置から一方的な支配を行うことであり、自分の前に現れた敵を迎え撃って倒すのはあくまで次善策。この視点が重要です。
つまり、ゼニスの城以外の施設はあくまで次善策のための備えと言うことです。
なお、実際には天馬の力を封印したところでダークドレアムの力を持ってすればデスタムーアの居城に乗り込むことが可能だったわけですが、これはデスタムーアにとって完全に予想外の出来事ですし、対処のしようもないので今回は言及しません。
4魔王+アクバーの配置見直し
さて、それぞれの拠点の重要度についておさらいしたところで、ここからはムドー、ジャミラス、グラコス、デュラン、そしてアクバーをどのように配置すればより強固な支配体制を作ることができるのか考察します。
デュランの欠点とゼニスの城の守備
デスタムーアは最重要拠点であるゼニスの城に魔王の中でも特に実力の高いデュランを配置していました。「実力者を配置した」という意味ではこの判断は妥当だと思います。
しかし、デュランは与えられた任務よりも自分の武人としての誇りを優先するという欠点も抱えています。これはデュランのセリフの端々からも読取れるほか、デスタムーアの命令を無視してゼニスの城を封印せず、ヘルクラウド城として自分の拠点にしていることなどからも分かる通り。完全に自分の都合を優先させています。
このことから、果たしてゼニスの城にデュランを配置したデスタムーアの判断が正しかったのかどうか疑問が残ります。
個人的にはここはアクバーに守らせるのが最適だったのではないかと考えます。
もちろん、自分の膝元であるはざまの世界に信頼できる有能な部下を置いておきたいという気持ちも分かります。
しかし、ゼニスの城の封印ははざまの世界の守り以上に重要な意味を持っていたはず。であれば、デュラン以上の実力者でデスタムーアの意図も汲み取れるであろうアクバーをゼニスの城に配置する意義は十分にあると考えます。
デュラン、アクバー、ジャミラスの配置見直し
これを踏まえてデスタムーアの配下たちの配置を改めて考えると
- ダーマ神殿→ムドー
- メダル王の城→デュラン
- カルベローナ→グラコス
- ゼニスの城→アクバー
- はざまの世界→ジャミラス
と言うのも一考の余地があるのではないでしょうか。
単にデュランとアクバーを入れ替えるのに留めなかったのは、デュランが先に述べた欠点を抱えているのでデスタムーアの一番近くに置いておく部下としては不適切だと思えたからです。
代わりにジャミラスをはざまの世界に配置する理由としては、ジャミラスが「しあわせの国」でそうしていたように、人間の欲望に付け込んで支配することに長けているから。
欲と絶望にまみれたはざまの世界の住人たちが相手なら、ジャミラスにとってなおのこと扱いやすいのではないでしょうか。純粋な実力ではアクバーに劣りますが、人間たちに反乱の意思すら持たせずに支配するという芸当ならむしろアクバーより上手くやれるだろうと予想します。
まとめ
デスタムーアにとって最も失ってはならない拠点がゼニスの城。その重要性を考えると、配下の魔王たちの配置を見直す余地がある。アクバーをゼニスの城に。デュランをメダル王の城に。ジャミラスをはざまの世界に配置する布陣もそれぞれの長所とマッチしていて悪くない▼