アークボルトに関する一連のイベントで、旅人の洞窟におけるバトルレックスとテリーの対決はドラクエ6の大きな見どころの1つとなっています。
そのインパクトの強さに隠れてしまっていますが、旅人の洞窟最深部でバトルレックスの卵を割るとヘルバイパーが出てくるという事実。
似ても似つかない2つの種族。なんだかすごく違和感がないでしょうか。今回はバトルレックスとヘルバイパーの関係性について考えてみたいと思います。
アークボルト編の背景
兵士長ブラストをはじめとした高い戦闘能力を有する兵士が多く在籍し、強大な軍事力を誇る強国アークボルト。
そのアークボルトの軍事力を以ってしても討伐に手を焼くモンスターが旅人の洞窟に住み着いたバトルレックスでした。自国だけでの対応が難しいと判断したアークボルトは国外からもバトルレックスを討伐できるほどの強者を募り、見事討伐できた者には国宝「雷鳴の剣」を褒美として授けるという条件まで出しています。
国宝を差し出すぐらいですから、相当切羽詰まっていたのでしょう。これに挑んだのがテリーと主人公一行でした。
そして、バトルレックス討伐のために向かった旅人の洞窟最深部にてバトルレックスが産んだと思わしき卵を割るとヘルバイパーが出てくるのです。
ヘルバイパーとバトルレックスを比較
ヘルバイパーは名前の通りヘビの仲間です。一方、バトルレックスはれっきとしたドラゴン族です。種族からして異なります。比較するまでもありませんが、一応両者の違いを挙げていくと
バトルレックス
- 体色は黄緑
- 手足が生えており、二足歩行
- 斧を持っている
- 毒は持っていない
ヘルバイパー
- 体色は紫
- 手足は生えていない
- 斧は持っていない
- 毒を持っている
逆に共通点を探すのが難しいぐらい似ていません。
本当にバトルレックスの幼生がヘルバイパーなのでしょうか。
ヘルバイパーの成長の過程
しかし、バトルレックス自身が「私のタマゴ」と発言しているため、ヘルバイパーがバトルレックスの幼生であることに疑いの余地はありません。
では、ヘルバイパーはその後一体どのような成長の過程を辿るのでしょうか?
毒の消失
まず、バトルレックスが毒を有していないという点。
これはある程度推察できます。まだ戦闘力が未熟な幼生のうちは外敵から身を守るために毒を有しているのだと考えられます。ヘルバイパーは体色も紫で、バトルレックスには見られないオレンジ色の斑点が体中に浮き出ており、外見からしていかにも毒々しい。
毒のある生物は外敵に捕食されないよう、毒を持っているということをアピールするために派手な外見をしているといいます。ヘルバイパーにもこの性質が当てはまりそうです。
一方、成体であるバトルレックスを上回る強さのモンスターはなかなか存在しません。強い戦闘力を持っていれば外敵に襲われる危険性も下がるため、成長の過程で毒素を失っていくのだと考えることが可能です。
また、体色が変わるのも毒を失うことの一環として説明できますね。
ヘビとドラゴンの差
ヘビとドラゴン。これがなんとも埋めがたい両者の差です。手足の有無もこれに関係してきます。
せめてトカゲだとまだ分かるんですけどね。実際にリザードマンやメラリザードのように、名前がトカゲでありながら手足と翼を兼ね備えたドラゴンのような形態のモンスターもいますから。
唯一ヘルバイパーにドラゴンらしさを感じる部分と言えば、翼の形に似た謎の器官。
「ドラゴンクエスト25thアニバーサリー モンスター大図鑑」のウィングスネーク(ヘルバイパーの色違いモンスター)の頁を見ると、この器官はエラで、翼代わりにして海を渡るほどの長距離飛行ができると説明がされています。ということは、ヘルバイパーについても飛行能力があると考えて良さそうです。
バトルレックスは翼が小さく退化しているので、この部分だけに関して言えばヘルバイパーの方がよりドラゴンらしい特徴を持っているとも言えます。
なんとも説明に窮する部分ではありますが、現実世界でも尻尾を退化させて手足を獲得するオタマジャクシ→カエルという例もありますので、翼を退化させて手足を獲得するヘルバイパー→バトルレックスという変態も考えられなくはありません。
↑翼のようにも耳のようにも見えるこの器官。実はエラ。
斧の有無
最後に斧の有無です。ヘルバイパーには手がないので当然斧は使えないことでしょう。最大の疑問は、手足が生えてからすぐに都合よく斧が見付かるのかということ。
むしろ、都合よく斧が見付かることの方が稀なのではないかと思えます。ということは、斧を持っていないバトルレックスが一定数存在していてもなんら不思議ではありません。
ただ、斧が見付けられなかったバトルレックスは最終的に長く生存競争を勝ち抜くことができないので、人目に触れる機会も少ないというだけのことなのかもしれません。
その他幼生と成体で見た目が異なるモンスターとの比較
ヘルバイパーとバトルレックス以外で幼生と成体の名前や外見が変わるモンスターと言えば
- ベビーパンサー→キラーパンサー
- ミニデーモン→アークデーモン
が例として挙げられます。(どちらもドラクエ6では登場しませんが)
ミニデーモンとアークデーモンはドラクエ8のモンスター図鑑でその関係性が仄めかされているだけで確定情報ではありませんが、どちらもフォークを持っており、イオナズンを覚えている悪魔という共通点があります。
ベビーパンサーとキラーパンサーに至ってはもはや説明は不要ですよね。
この2種がヘルバイパーに比べて分かりやすい共通点を持っているのは、より高等な生物であるからでしょうか。
一般に、変態はより原始的な生物で多く見られる現象です。特に代表的なのが昆虫。それから上で挙げたカエルなどの両生類などが有名です。
ベビーパンサーは哺乳類。ミニデーモンに至っては悪魔ということで、より人間に近い種であると考えられます。この差は変態とはまた質が違うものだと考えます。ミニデーモンとアークデーモンの違いは人間の子どもと中年の差に近いものがあるのではないでしょうか。
一方、ヘルバイパーはより原始的な生物である爬虫類。バトルレックスへの形態の変化は変態と言う他ないぐらい劇的なものです。ここで爬虫類に変態する生物の実例があればしっくりきたんですが、残念ながら爬虫類に属する生物で変態の実例はないようです。
幼生の概念
しかし、幼生とはそもそも自身の生存率を上げることに特化した形態のことを指すものです。
ヘルバイパーが外敵の多い環境で産まれてくると仮定するなら、バトルレックスに成長するまでの間に毒によって外敵から身を守ったり、翼のようなエラによる飛行能力で広範囲のエサを求めたりできることはなかなか理に適っているように思えます。
晴れてバトルレックスにまで成長できれば、翼を使わなくともその圧倒的な戦闘能力でより食物連鎖の高い位置に君臨し、捕食できる相手も増えるので困らなくなるというわけですね。
まとめ
ヘルバイパーには外敵が多く、一人前のバトルレックスに成長するまでは毒や翼による外敵からの防御策を取っている。バトルレックスに変態を遂げることで戦闘に特化したスタイルとなり、不要となった毒や翼の機能は退化する▼