ドラクエ9における冒険の終盤。主人公(以下ナイン)がガナン帝国城に囚われていた天使たちを解放したのち、エルギオスは神の国を絶望と憎悪の魔宮に作り変えて鎮座します。
この時、エルギオスは帝国3将(ギュメイ将軍、ゲルニック将軍、ゴレオン将軍)を再度復活させて手駒としていますが、なぜ最も強力な手駒となるであろう皇帝ガナサダイは復活させなかったのでしょうか。その理由について考察します。
ガナサダイ復活の可不可
そもそもガナサダイの復活は可能だったのでしょうか。
可能だったがあえて復活させなかったというのがエルギオスのスタンスだったと考えます。
ガナン帝国やバルボロスの強化には捕らえた天使たちから奪ったエネルギーが使われており、絶望と憎悪の魔宮に舞台が移った時点ではナインがすべての天使を解放した後であるため新しいエネルギーは供給されない状態です。
もしかすると、このエネルギーが断たれたために帝国3将を復活させるのが精一杯でガナサダイを復活させるに至らなかった、という考え方もあるかもしれません。
しかし、天使たちを捕らえたのはガナン帝国だとされているので、根源となるガナン帝国の復活はエルギオス単体の力によるものだと言えます。
「せんれき」の「討伐モンスターリスト」から見ることができる堕天使エルギオスのページには「堕天使の力でガナン帝国を復活させた」という記述もありますし、天使たちからエネルギーを搾取しなくともエルギオス自身の力で事足りると判断できます。
となると、エネルギー不足という説は不適切で、神の国の最終決戦時点でもガナサダイの復活は可能だったと考えられます。
にもかかわらずガナサダイを復活させなかったのはエルギオスにとって脅威になり得るからではないでしょうか。
ガナン帝国反乱の可能性
では、どのような事態がエルギオスにとって脅威となるのか。
ガナン帝国の内情から考えてみます。
帝国3将の不仲はエルギオスにとって好材料
特に神の国におけるゲルニック将軍との再戦時の発言で顕著ですが、帝国3将はエルギオスに対して敵意を抱いていると言って差し支えないぐらい忠誠心のカケラも持ち合わせていない様子が伺えます。
もしガナサダイを復活させた場合、結託して反旗を翻されることを危惧したのではないでしょうか。
ガナサダイの支配者としてのプライドの高さはナインとの戦闘時におけるセリフにもよく表れていますし、エルギオスの都合の良い手駒に甘んじる器でないことは容易に想像できますから、エルギオスも当然反逆のリスクを想定していたことでしょう。
ポイントは帝国3将同士の関係が良好ではないという点。
カデスの牢獄ではゴレオン将軍がゲルニック将軍に対して悪態をついているシーンがあったり、
ガナン帝国城でのゲルニック将軍撃破後の捨て台詞ではギュメイ将軍に対して実力は認めているものの快く思ってはいない様子が読み取れます。
つまり、帝国3将は皇帝ガナサダイのカリスマ性があってこそ1つの組織として機能する存在であり、ガナサダイ不在の状態ではとても連携してエルギオスに反旗をひるがえすことなどできないと言えます。
まとめると、ガナサダイと彼に統率された帝国3将はエルギオスにとって脅威になり得るが、連携の取れていない帝国3将であれば恐るるに足らずといったところ。
ガナサダイさえ不在であれば帝国3将を都合の良い手駒として扱えるというわけですね。
バルボロスのスタンスが不透明なリスク
加えてエルギオスにとって懸念事項がもう1つ。バルボロスの存在です。
バルボルスはセリフがほとんどないためどういう動機で行動しているのか読み取りにくいのですが、彼はもしエルギオスとガナン帝国が対立した場合どちら側につくのでしょうか。
元々は300年前に滅びる前のガナン帝国に従っていたのでガナン帝国に忠誠を誓っているのかと思いきや、ガナサダイがナインに敗れた途端エルギオスの指示に従っているので単純により強い者であれば誰にでも従うのか、あるいは自分が破壊活動を行うために最適な環境を求めているだけなのか・・・
断定はできませんが、付き合いの長いガナン帝国側につく可能性もなくはありません。
となればエルギオスにとっては更に分が悪いガナサダイ+帝国3将+バルボロスを同時に敵に回す事態も起こり得るため、このリスクを避けるためにガナサダイをあえて復活させなかったのだと考えます。
ガナサダイが反逆するための前提条件
ところで、ガナサダイがエルギオスに反逆する意思があるのならガナン帝国城にいる時点でそうしていたのでは?という視点もあるかもしれませんが、ガナン帝国城にいた時点ではガナサダイはエルギオスが自分の背後にいて、自らが彼の手のひらで踊らされていることに気付いていなかったのではないでしょうか。
あくまでも過去に捕らえた天使のうちの1人という認識だったように見えます。
エルギオスはずっと地下の閉ざされた牢獄に留まっていたようですしね。
帝国3将たちがそうでしたが、絶望と憎悪の魔宮で復活させられたことで初めて自分たちがエルギオスの手駒として使われていることに気付いたに違いありません。
エルギオスへの反逆は当然エルギオスの存在を認識していなければ起きないため、ガナン帝国城が舞台であるうちは必然的にガナン帝国とエルギオスの対立は起こり得ません。
まとめ
エルギオスは堕天使の力を使えば神の国にてガナサダイを復活させることもできた。しかし、ガナサダイが帝国3将とバルボロスを統率して自分に反逆してくるリスクを考え、あえて復活させなかった可能性が高い。帝国3将だけであればもし反逆が起きても鎮圧が容易で都合の良い駒として扱えるため、彼らだけを復活させるに留めたと考えられる▼