ドラクエ考察はくぶつかん

ゲーム内では語られていない疑問点について考察します。ネタバレ注意。

ニセたいこうやボストロールが本物を始末しなかった理由

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ドラクエシリーズでお馴染みの演出として、「王族に化けたモンスターが国を乗っ取る」というものがあります。

その代表例が記事タイトルでも挙げている以下の2つ。

  • サマンオサのボストロール(ドラクエ3)
  • ラインハットのニセたいこう(ドラクエ5)

単純な力押しで攻めずに効率的に国を乗っ取ろうとするやり口は実に巧妙なものでした。

 

そんな彼らのやり口に1つ疑問があります。それは、なぜ本物の王(太后)を始末せずに牢に投獄して生かしておいたのかと言う点。

結果として、主人公たちに本物を発見されたせいで偽物であることを見破られることが彼らの敗北に繋がるわけですから、この判断は詰めが甘いかのように思えます。

しかし、ほぼノーリスクで国の乗っ取りを成しかけていたほど狡猾な彼らが本物が発見されるリスクを考えないほど愚かだとは思えません。

 

今回はニセたいこうやボストロールが本物の王族を生かしておいた理由について考察します。

国の乗っ取りイベント概要

サマンオサ

主人公たちが初めて城下町を訪れた時、王の悪口を言っただけで処刑されてしまった人物の葬儀が行われているところに出くわします。

城下町の一角には他の町では見られない広大な墓地が広がっており、多くの人物が王の悪政の犠牲になった様子が伺えます。

現実世界で言うと、とんでもない言論の自由の侵害ですよね。

この悪政を行っていたのがサマンオサ国王に化けていたボストロールでした。

ラインハット

ラインハット王子であるヘンリーが主人公とともにゲマに連れ去られた後、ニセたいこうによる国の乗っ取りが行われます。

ヘンリーを連れ去った犯人がパパスだと断定し、パパスと関わりのあったサンタローズを丸ごと滅ぼしたり、ラインハット国内でも国民に重税を課して生活を困窮させるなど暴虐の限りを尽くしました。

 

国民に疑念を抱かせながらもラインハット軍として城内に自分の配下の魔物たちを招き入れることにも成功しており、磐石な国盗りの体制がほぼ整っていたと言えるでしょう。

本物を生かしておいた理由

では、ここまで国盗りを成していた彼らが本物を生かしておいた理由はなんでしょうか。候補を3つ挙げさせていただきます。

本物の悔しがる姿を見たいという欲望

定期的に牢獄へ赴き、悔しさの滲む本物の顔を見るのが快感だったという可能性が考えられます。

彼らの残虐性を考えれば、ありえそうな話です。自分がどのような悪政を行っているかを楽し気に語って聞かせていたのかもしれません。

なかなか正当性のある理由だとは思いますが、牢に赴く姿を城の者に見つかるというリスク があります。生かしておくのであれば食事を運ぶ必要などもあったでしょう。

牢に行く時は王族と別の姿に変化してから向かえば「王の不審な行動」として怪しまれることはなくなりますが、定期的に牢へ足を運ぶ人物がいることはやはり怪しい。

 

この説が正しいなら、リスクを減らすことより自分の快楽を優先したという点で失策だったと言えるでしょう。しかし、現実世界でも完全なはずの計画が破綻してしまうのは案外こういった理由が多いものではないでしょうか。

本物がいないと変身を保てない

推測に過ぎませんが、本物が死んでしまうと変身が解除されてしまうというのはどうでしょうか。この場合、本物を始末しなかったのではなく、できなかったということになります。

 

変身の呪文と言えばまずモシャスが思い浮かびますが、彼らの変身手段がモシャスであるかどうかは不明です。ボストロールについては戦闘後に「へんげのつえ」を落とすので、これを使った可能性が高いですね。

ただ、モシャスにしてもへんげのつえにしても本物が死んでしまうと変身が解けてしまうことを示せる根拠はありません。むしろ、モシャスを戦闘中に使った場合、本物が死んでもモシャスが解けることはありません。

 

根拠の弱い説ではありますが、この説が正しければ本物を生かしておいたのは彼らの慢心によるものではないと言うことなので、個人的には挙げておきたいです。

正体がバレた時の保険

万が一正体がバレてしまった場合の保険として、本物を生かしておけば人質として利用することができます。

「もし俺が偽物であることを口外したら本物の命はないと思え」といった具合ですね。おそらくこれが最も合理的な理由ではないでしょうか。

自分より弱い相手にバレた場合は簡単に握りつぶすことができそうですが、自分より強い相手にバレた場合に有効にはたらきそうです。

 

この場合、牢屋に入れておけば自分の監視下にあると思い込んでしまったのが敗因ですね。結局主人公たちに本物を奪還されてしまっていますから。

しかし、本物を奪還されることを防ぐために見張りを付けるなどして牢の守りを強化すると、城の人間に不信感を抱かせるという側面もあるので加減が難しい。

 

「人1人の存在をないことにする」というのは想像以上に労力を使いそうです。

これほどのリスクを背負うので有れば、やはり始末してしまった方がいいような気がしてきます。

ここまでのまとめ

以上、3つ挙げてきましたが、一番可能性が高そうなのは1つ目の説「本物の悔しがる姿を見たい」だと考えます。言ってしまえば、慢心に足元をすくわれたということになりますね。

 

余談:ナンバリング作品以外での偽物

ここから余談です。

その他、ナンバリング作品以外での偽物はニセたいこうやボストロールとは行動パターンが違うので触れておきます。

ドラクエモンスターズジョーカー3

凍骨の氷原にある町ポーラパークで東側を統括しているイエタス(イエティ)が実は狡猾王アーザムークが化けている偽物でした。この時、アーザムークは本物のイエタスを氷漬けにして殺しています。

ニセたいこうやボストロールには見られない徹底ぶりですね。

 

ただし、氷漬けのイエタスの死体を主人公に発見されてしまうため、彼もまた詰めが甘かった敵の1人。せっかく始末しても発見されてしまうような場所に置いておくのでは生かしておくことと大差ありません。

ドラクエヒーローズ2

ラスボスである魔王ザラームがオレンカ王に化けてジャイワール王を暗殺しています。これにより、化けた相手を犯人に仕立て上げ、国同士の疑心暗鬼を誘って戦争を起こさせることに成功しています。

本物に化けることの最も効果的な使い方はこれではないでしょうか。無実の罪を着せられるなど、現実世界で考えても恐ろしいです。

 

一国の乗っ取りに留まらず、ヒーローズ2に出てくる全7か国を争いに巻き込んでいるという点でもその(悪い意味での)功績は大きい。

ドラクエの全シリーズの中で本物に化けるという技を最も効果的に使ったのは魔王ザラームだと思います。

 まとめ