ドラクエ考察はくぶつかん

ゲーム内では語られていない疑問点について考察します

ホルストックの試練に見るドラクエ世界の重大な基本原理

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ドラクエ6のホルストックと言う国で、国王から「王子が試練を受けるのに同行してほしい」と頼まれるイベントがあります。

国王からすれば主人公たちは得体の知れない旅人です。そんな人間に一国の王子の護衛を任せるなど正気の沙汰とは思えません。

 

が、しかし。

本当にこの国王(ホルテン王)は危機管理のできていない無能な王のでしょうか?

もちろんそういう危なっかしい側面があることは間違いないのですが、このような依頼をするホルテン王の思考について、ドラクエの世界観と照らし合わせながら考えてみたいと思います。

 

背景

悪戯が絶えない息子(ホルス王子)に頭を悩ませるホルテン王。

一刻も早く王族としての自覚を身に着けさせるため、ホルストック王家の伝統的な儀式を受けさせたいと考えますが、臆病なホルス王子はなかなか儀式を受けようとしません。

そんな折、たまたまホルストックに立ち寄った主人公たちがホルテン王から「ホルス王子の儀式へ同行してほしい」という依頼を受けるのがホルストックでのメインイベントとなります。

 

2つのリスク

このホルテン王の依頼に潜むリスクは大きく分けて2つ。

  • 洗礼のほこらのモンスターにホルス王子が殺されてしまう
  • 主人公たちがホルス王子に危害を加える

どちらも看過できないほど大きなリスクです。この2つについて少し掘り下げていきます。

 

「しれん」の存在

洗礼のほこらには

  • しれんその1(バーニングブレス)
  • しれんその2(ダークホーン)
  • しれんその3(ユニコーン)

というモンスターが現れます。1つ疑問なのが、彼らがホルストックの管轄下にある存在なのか、それとも純粋なモンスターなのかということ。

もし純粋なモンスターであれば、この試練は跡継ぎに命をかけさせる行為であると言えます。ここで死んでしまっては王族としての自覚も何もあったものではありません。野生のモンスターに挑むことが王族の間で伝統行事として行われているのだとしたら、ホルストックという国そのものが無謀なしきたりに捉われていると言わざるを得ません。

 

一方、「しれん」がホルストックの管轄下にある存在であるというのなら納得がいく点は多いです。 「しれん」たちはホルス王子を見守りながら度胸試しをした上で、「王としての素質あり」と見れば道を空ければいいだけの話ですから、命まで取ることはありません。 王族の試練のあるべき姿はどう考えても後者だと思うのですがいかがでしょうか。

 

レイドックで主人公やハッサンが受けた王宮兵士採用の試験がいい例ですね。

試練の塔ではネルソンなどの人物が試練を受ける者の腕試しを行っていました。このようにある程度安全が保障された環境で行うのが望ましい試練の形だと思います。

 

一応それぞれの「しれん」が戦闘開始前に喋るセリフ(「われは試練なり~」)から察するに純粋な野生のモンスターの線は薄いように思えます。

であれば、それ程危険な存在ではないのかもしれませんが、彼らがホルストックに忠誠を誓った存在であるかと言うと少し疑問は残ります。

以上の点を踏まえると、「しれん」はホルストック地方の土地神のような存在というのが一番しっくりくるイメージのような気がしています。

 

おそらく、試練の過程で王子の命を奪うことまではしないのではないでしょうか。

 

見知らぬ旅人に王子を預けるリスク

ここまで見てきたように、仮に「しれん」が命を脅かすほど危険な存在ではなかったとしましょう。

仮にそうだとしても、もう1つ問題があります。 それが2つ目のリスク。ホルテン王が見ず知らずの旅人をホルス王子の試練に同行させたという点です。 極端な話、主人公たちがそのままホルス王子を誘拐し、ホルストックに対して身代金を要求するようなケースだって考えられるわけです。

国家存亡の危機を招く可能性がある行為だと言っても過言ではありません。

 

しかし、僕はここにこそドラクエの世界の基本原理があると感じます。

そもそもドラクエの世界では一部例外はあるものの基本的に旅人を歓迎するような風土があり、突然民家に入っていっても普通に世間話に応じてくれたり、よそ者ですら簡単に国王に謁見できたり、といった世界観になっています。

つまり、「人間は信じられるもの」だという考え方が根本的にあるのだと言っていいでしょう。

 

現実世界とは大違いですよね。国家要人が衆目に姿を晒すとなれば、厳重な警備が敷かれるのが僕らの世界では当たり前ですし、普通の民家ですら強固なセキュリティが施されています。

では、なぜドラクエの世界がここまで寛容になっているかというと、魔王の存在が重要な要素になっていると考えられます。

 魔王という人類共通の敵が存在することで人間同士の連帯感が高まりやすく、同じ人間同士助け合って生きようという考え方が世界全体に根付いているのではないでしょうか。

現実世界でも仮想敵を作ることで国内の連帯感を高める手法があったりしますが、それの人間全体バージョンといったところです。

 

 ドラクエの世界が魅力的に思えるのは、こういった暖かさが作品全体から溢れているからだというのが僕の考えです。

 

ドラクエの世界観とホルテン王

現実世界に生きる僕らの感覚で言うと、素性の知れない人間に自分の息子を預けるという行為は理解しがたいことです。

ですが、ドラクエの世界は人を当たり前のように信じることができる風土ができあがっている。これを踏まえると、ホルテン王が主人公たちにホルス王子を託した判断は手放しで称賛できるものではないものの、現実世界の僕らが感じるほどに愚かなことではないと思うのです。

 

まとめ